持ち上げる日本の陶器と洋食器

日本の食器として用いられる陶器は食事のときに持ち上げる習慣、文化があります。お茶碗や汁椀は手に持って食べるのは家庭でもそのように躾けられることが多いでしょうが、これ以外にも、ご飯の入っている食器や、小鉢、小皿と呼ばれるような食器は、右利きの人の場合、左手に持って食べるのがマナーです。例えば丼物やうな重のように、ご飯の入っている食器はお茶碗よりも大きくても手に持つのがマナーですし、前菜などの入った小鉢、あるいはつゆを入れた小皿なども手に持って食べます。

これが日本のマナーで、手に持つ意味もあって陶器は洋食器に比べると比較的軽く、また特有の手触りがあります。

一方、洋食器は基本的に一切持ち上げません。むしろ持ち上げるのがマナー違反です。そのためもあって、洋食器は重くなっています。これは単に使われている材質の量、厚みが異なるというだけではありません。材質そのものも異なるのです。陶器は粘土のみで焼き上げますが、洋食器に使われている磁器は粘土に加えて石を砕いたものも含まれています。密度の差により、磁器のほうが同じ大きさ、厚さでも重さは軽くなるのです。別に軽いから持ち上げる、重いから持ち上げないということではないでしょうが、興味深いことです。

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